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((ほかほかコース))温泉街の先には小さな秘境が…! 箱根湯本周辺の自然を巡る

おすすめポイント
  • 帰る前にもう少し歩きたいときにぴったり
  • 駅からすぐ、気軽に自然と歴史に触れられる
  • 温泉街とはひと味違う、箱根の秘境を楽しむ
この旅について

箱根といえば「温泉地」のイメージが強いかもしれない。けれど、街と山の境目に位置する箱根湯本は、ほんの少し足を伸ばすだけで豊かな自然に出会える場所でもある。「ちょっとそこまで」の感覚で歩いてみると、そこにはまるで秘境のような景色が待っていた。

紹介する人

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本記事は((ほかほかコース))を山歩しています。
このコースを歩くなら、スマホがナビになる無料アプリ『YAMAP』がおすすめ。記事のルートをそのまま地図上で確認できます。
ぜひこの機会に足をお運びください。

この旅のスタート地点は、箱根登山電車・箱根湯本駅からひとつ手前にある塔ノ沢駅。
仙石原や強羅エリアを巡った帰りに、もうひと歩きするのにちょうどいい散策コースがあるのだ。箱根湯本を目前にすると、「あとはお土産を買って帰るだけ」と締めくくりの気分になりがちだけれど、実は箱根湯本の周辺にも、このエリアならではの自然体験が点在している。

今回このコースを歩くのは、モデルのKIKIさん。トレイルランニングやピクニックなど自然に親しみ、箱根にも何度も訪れているというが、箱根湯本周辺をじっくり散策するのは初めてだそう。
山沿いを歩きながら自然を味わう、約2時間の小さな旅が始まる。


箱根登山線に揺られ、トンネルを抜けると、ぽつんと小さな駅がある。

ここが旅のスタート地点、塔ノ沢駅だ。

箱根登山電車3000形(アレグラ号)は窓が大きく、車窓いっぱいの景色を楽しめる。

トンネルに這う蔦がかなりワイルドで、洞窟遺跡のような雰囲気。

自然のど真ん中に降り立つ塔ノ沢駅は、到着した瞬間から探索気分を高めてくれる。周囲はとても静かで、草木を揺らす風の音と、時折聞こえる電車のリズムが心地が良い。
深呼吸をして、フレッシュな空気を胸いっぱいに吸い込み、いざ散策へ——。

…と、その前に。
ホームのすぐ脇に目をやると、駅に直結して小さな鳥居が立っている。
ここは「深澤銭洗弁財天」。箱根随一の金運パワースポットだ。
塔之沢温泉に宿泊していた松井証券の創業者・松井房吉氏の夢枕に白蛇が現れたことをきっかけに、1926年に清らかな水が流れる現在の地に石造りの社が建てられたという。夢に現れた白蛇とは、弁財天の使いとして富をもたらす存在とされ、金運・財運向上にご利益があると伝えられているのだ。

鳥居をくぐるとすぐ祠があり、そばの清流にはひしゃくとざるが置かれている。「弁天癒水」と呼ばれるこの水でお金を洗うと、金運向上のご利益があるのだとか。
旅の始まりに福を願う、縁起のいいスタートだ。




洗ったお金は、しまい込まずに使うのが良いそう。

水をかけるたび、どこか輝きが増したように見えてくる。

山に囲まれた境内は、自然のエネルギーにも満ちている。


さらに奥に進むと岩場の中に祠が…!

ひっそりと佇む様子が、より神聖に感じられる。

ホームを後にし、国道へ向かって小さな山道を下っていく。標高約150mに位置する塔ノ沢駅からの道中では、木々の合間に山々の景色が広がる。道はしっかり舗装されているので、安心して歩けるのも嬉しい。




道中には七福神の石像がずらり。


やがて山道を下りきると、箱根駅伝でもおなじみの国道1号線へ。
目の前に現れる重厚なアーチ橋は、1930年建造の「千歳橋」だ。日本初期の道路構造物として高く評価されており、間近で見ると、その造形美と迫力をダイナミックに感じられる。


千歳橋の下に流れるのは「早川」。

親柱が主アーチと波打つようにつながっている姿は、細部まで美しい。

さらに進むと現れるのは、国道1号線の歴史的トンネル遺構「函嶺洞門」だ。千歳橋、旭橋とあわせて「国道一号箱根湯本道路施設」として国の重要文化財に指定されている。


現在は内部を歩くことはできないが、山沿いに連なるアーチは圧巻。

すぐ下を流れる川のせせらぎと相まって、ひんやりとした心地よさに包まれる。


圧巻の景色を眺めながら、「中を歩いてみたかったな…」とつぶやくKIKIさん。
「何度も車で通っていた場所なのに、立ち止まって見たのは初めてでした。近くで見ると迫力が全然違うし、空気がとても瑞々しくて気持ちいい。新しい発見でしたね」
豊かな自然と雄大な重要文化財を間近で堪能できる、贅沢なひとときだ。

そのまま早川沿いを歩いていくと箱根湯本の温泉街にたどり着く。石碑が目に入り、小道の先にどうやら神社があるらしい。
階段を上った先に鎮座するのは、温泉の神様を祀る「湯本熊野神社」。社殿の下には、箱根最古の源泉「惣湯」があるという、この温泉街の原点とも言える場所だ。




手前に並んでいる管には、温泉の水を引くための栓が並んでいる。


各旅館の名前が書かれていて、温泉街らしい風景。


この地が「湯本」と呼ばれるのは、箱根で最も古い源泉があることに由来。
1200年前の奈良時代に発見されたと伝えられている。

今も病気を癒してくれる温泉の神様として、毎年多くの参拝者が訪れる。

熊野神社を後にし、駅前の商店街とは反対方向へと川沿いを歩くと、老舗温泉宿「天成園」が見えてくる。
ここの庭園は宿泊者以外も入園可能で、足を踏み入れると豊かな自然と滝が迎えてくれる。
名瀑「玉簾の瀧」は、高さ約8m、幅約11m。岩壁を流れ落ちる清水が、玉すだれのように細やかで美しいことからそう名付けられた。延命水として古くから親しまれ、箱根路を行き交う旅人の喉を潤してきたという。与謝野晶⼦や荻原井泉⽔ら⽂⼈にも愛され、この滝を見て詠んだ歌や句があるほどだ。

玉簾の瀧の周辺は、1887年半ばに「滝の前遊園」として整備され、浴客の憩いの場として人気を博したのだそう。しかし1923年の関東大震災による山崩れで一度埋没してしまったものの、再び掘り起こされたのが現在の姿となっている。






庭園内には、箱根神社・九頭龍神社の唯一の分宮「玉簾神社」も鎮座し、
家内安全や商売繁盛のご利益で知られている。




水音と緑に包まれ、庭園とは思えないほどの自然の深さを感じる場所だ。

滝の迫力を浴びた後は再び道を戻り、箱根湯本駅の商店街へ。だいぶ歩いてきたので、そろそろエネルギー補給したいところ…。




商店街から一本脇道に入ると、個性的な看板が並ぶ店が現れる。2021年オープンのジェラート店「Hakone Dolce studio STELLA」だ。

「箱根の甘味といえば温泉まんじゅうのイメージで、ジェラートは初めて見たかも」とKIKIさん。
ディスプレイを覗いてみると、果物が大胆に使われていてとても華やか。小田原産の果物など厳選素材を贅沢に使ったジェラートは、素材の味を最大限に引き出すようにこだわり抜かれていると言う。
悩んだ末に、ピスタチオと苺のシャーベットをオーダー。素材が際立つ味わいは、恵みの豊かさを感じられて感動的に美味しい。歩いた身体に染み渡るご褒美だ。



季節の旬に合わせてメニューは入れ替わり、一年通してさまざまな味を楽しむことができる。



ピスタチオは濃厚ながら甘さを抑えた上品な味わいで、
苺のジェラートは採れたての苺の芳醇な味わいと華やかな芳香を引き出した逸品。

ジェラートを片手に、商店街から少し離れた「HAKONATURE BASE」へ。
コーヒーを飲みながら、腰を下ろしてひと休み。店内は広く、テラス席もあるのでゆったりと過ごせる。




箱根湯本で自然を味わう方法は、歩くだけではない。
もっと身を委ねて自然に浸れるために最後に向かったのは「箱根湯寮」。古民家風の風情ある空間に、多彩な湯と食事処が揃う日帰り温泉施設だ。
特に森に囲まれた露天風呂では、自然に身を委ねる感覚を存分に味わえる。
駅から近く、夜8時まで利用できるので、旅の締めくくりにぴったりだ。






箱根湯寮で身体を癒しながら、今回歩いた旅路を振り返る。

「今日訪れた場所は、観光地らしい箱根というより、箱根の“秘境”を巡った感覚でしたね。まだまだ知らないところがたくさんあって、改めて箱根は広くて、いろいろな楽しみ方ができる場所なんだなと実感しました」

少し欲張って歩いてみたからこそ出会えた、小さな秘境たち。さらに、箱根湯本周辺を巡るというコンパクトな旅路だからこその自然体験もあったそう。

「街に近いのに、自然がぐっと近づく瞬間があって。国道から一本小道に入るだけで空気が瑞々しく変わって、ふと自然の存在に気づかされることが何度もありました。道も歩きやすいので、景色や空気の些細な変化を感じながら、自然をじっくり味わえた気がします」

そして最後に、KIKIさんはぽつりとこうこぼした。
「子どもと一緒に回ってみてもいいかも」

そっと誰かに教えたくなる発見がある。そんな“箱根のもうひとつの顔”に出会えるのも、このコースならではの魅力だ。

text:林亜華音
photo:池ノ谷侑花(ゆかい)、池田晶紀(ゆかい)





所要時間 2時間30

10:30
塔ノ沢駅
START!
0分
10:30
深澤銭洗弁財天
10分
徒歩で7〜10分
10:50
千歳橋
0分
徒歩で3分
10:55
函嶺洞門 駐車場
5分
徒歩5分
11:05
熊野神社
10分
徒歩で10分
11:25
天成園 玉簾の滝
20分
徒歩で10分
11:55
Hakone Dolce studio STELLA
10分
徒歩で10分
12:15
HAKONATURE BASE
30分
無料送迎バスで2〜3分
12:45
箱根湯寮
COMPLETE!
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