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桜が舞い散る山道を駆け抜ける! FUNだらけのトレイルランニング

おすすめポイント
  • 初心者でも楽しめる
  • 春なら桜の下を走れる
  • 「HAKONATURE BASE」を 拠点にすれば快適度アップ
この旅について

アウトドアフィールドとしても多様な顔をもつ箱根。登山はもちろん、サイクリングや釣りなど、さまざまなアクティビティが楽しめるけど、今回はトレイルランニングのおすすめコースをご紹介。案内してくれるのは、トレイルランニング歴12年。東京・東神田でトレイルランニング/ランニング専門店「ランボーイズ! ランガールズ!」を営む桑原慶さん。

紹介する人

「箱根にはけっこう走りに来ますよ」という桑原さんだが、聞けば、そのコースは箱根外輪山をグルッと一周するというもの。距離にして約50kmでアップダウンも激しいなかなかにガチなスタイルだ。憧れはあるけど、いきなりそれだとハードルが高すぎる。「初心者向けのコースを……」とお願いしたところ、桑原さんが提案してくれたのが、今回のコース。小涌谷からスタートして、浅間山を経由。そこから湯坂路に入り、ゆっくりと下り基調の道を走っていく。距離にして9kmほど。
「箱根外輪山の一部を走るというのも考えたんですが、どこも最初の登りがけっこうキツいので、ほんとの初心者だと向かないかなと思ってこちらにしました。箱根は公共交通機関が発達しているから、それを利用して標高を上げてしまえば、あとはのんびり下って行くことができる。初めての人を連れて行ってトレイルランニングの魅力を感じてもらうのにも良いコースだと思います」
箱根湯本駅で、桑原さんと、今回一緒に走ってくれる「THE NORTH FACE」のスタッフの小澤優三郎さん、小谷陽子さんと合流したら、出来たてほやほやの「HAKONATURE BASE」に向かう。新しく箱根湯本にできたアウトドア拠点で、ラウンジやシャワー室など、箱根でアウトドアアクティビティを楽しむ人をサポートする機能が備わっているし、さまざまなツアーやワークショップも開催予定。「THE NORTH FACE 箱根」もあるし、GORA ブリュワリーのクラフトビールもタップで飲める。これは、帰りも立ち寄らねば。



4月28日オープンの「HAKONATURE BASE」。箱根の新たなアウトドア拠点として、荷物の預け入れ(開始時期未定※23年5月時点)やシャワー、物販の他、さまざまなガイドツアーやワークショップも開催予定。


「HAKONATURE BASE」に荷物を預けたら、箱根登山鉄道を利用して小涌谷駅まで向かう。そこから15分ほど歩けば、今回のスタート地点である千条(ちすじ)の滝に着く。糸のように細かく流れ落ちる滝に、3人とも「いいねぇ」と声を揃える。

「トレイルランニングって、ただ速く走ることだけが目的じゃなくて、こういう風景なんかも楽しみのひとつなんですよ」と、桑原さん。初心者からすると、もっと苛酷なスポーツなのかと思っていたけど、それはどうやら勘違いのようだ。

千条の滝をスタートすると、すぐにフラットな道が現れた。
「ちょっと軽く走りましょう」という桑原さんの声で、3人がスタート。まだ落ち葉が残る春のトレイル。ざっざっと走り抜けて行く姿は爽快そのもの。この時点ですでに3人とも笑顔が溢れている。
とはいえ、とうぜんハイクアップもある。浅間山までは登りが続く。
「レースじゃないんだし、登りは無理に走る必要はないんですよ。自分が気持ち良いと思えるペースで行くのが一番」
そう言う桑原さんに、小澤さんが意外そうな顔で答える。
「そうだったんですね。ぼくはけっこう頑張っちゃうほうなので、登りでもゼェゼェ言いながら行っちゃうタイプでした」
「そうやって自分を追い込むのも、もちろん走る魅力なんだけど、せっかく自然の中に来ているから、今回は風景なども楽しみながら行きましょう」



水が千の糸に見えることから千条の滝はと名付けられた。幅20m、高さ3mで苔観察も楽しい。


浅間山の頂上までは、通常だと約40分の登りだけど、桑原さん一行はさすがのスピードで、約20分で頂上へ。

トレイルラン用のバックパックには、行動食のほか、ソフトフラスクに入れた水を500mlずつ。


鷹巣山を越えると、すこんと開けた気持ちの良い草原にでる。ピクニックテーブルもあるから、ここでちょっと早めの休憩をとることにする。
「いろいろ持ってきたんで、好きなのをどうぞ」と桑原さんがトレランザックから取り出したのは、各種エナジーフード。
「おっ、ぼくこのENEMOCHIって好きなんですよ」
小澤さんがさっそくパクリ。
「こういうのって、どうやって選べば良いかちょっと分からなくて」という高谷さんの質問に、桑原さんが丁寧に答える。
「いろいろ種類があるんです。いま食べてもらってるのは、いわゆる補給系。トレイルランニングって登山などよりもエネルギー消費が激しいから、こまめに摂取しやすいジェルタイプが最初は良いかも。他にも運動後に摂取するリカバリー系もあって、疲労軽減に役立ったりしますよ」
ほかにも、おすすめのコース、走り方やマナーなどいろんなことを桑原さんは親切に教えてくれる。
実は桑原さんがお店をはじめたきっかけは「トレイルランについての情報が少なかったから」だという。
「僕がトレイルランを始めた12年前とかだと、誰も聞く人がいない状況でしたね。コースなんかも、仲間内で共有しているくらいでした。だから、誰でも気軽にそういう情報を得られる場所を作りたくて店を始めたというのが大きいです」


標高801.5mの浅間山の頂上。ベンチがあるので休憩ポイントに最適。


この日、桑原さんが持ってきてくれたエナジーフード。一部はHAKONATURE BASEでも販売予定。


そこから先はゆるやかな下りが続く極上のトレイル。桑原さんの走りはもはや天狗のそれ。軽やかに駆け下っていく。
「わ! 桜!」という高谷さんの声で3人が足を止める。この撮影は4月初旬。ちょうど桜のシーズンだ。
「しかもソメイヨシノじゃないですね。太白という山桜でしょうね」
アウトドアの専門学校を卒業したという小澤さんは、さすがの博識ぶり。しばらく桜を堪能した3人は、花びら舞い散る幻想的なトレイルを駆け下っていく。それにしても、予想していたトレイルランとは違って、苛酷さがちっともない。山の中を駆けていると、まるで自分が野生動物になったかのような、登山とはひと味違った自然との一体感を味わえるのだ。

途中で登山道整備の方とすれ違う。
「トレイルランニングって、登山の人とは速度域が違うから、マナーを守ることはとっても大切。すれ違う場合は止まって挨拶。追い越すときもスピードを落として相手を驚かさないように声をかけ歩いて追い越します。僕は登山道整備などにも協力したい気持ちが強いので、HAKONATUREが今後検討予定だという登山道整備のイベントなどにも積極的に参加したいですね」
「自然の中で遊ばせてもらっている」という感覚があるという桑原さん。やはり、自然を大切にしていくという意識を根付かせるのには、そこで遊ぶというのが最高の手段なのだ。








このコースの桜の見頃は、通常4月の頭。さまざまな山桜が行く手を彩ってくれる。

最後は箱根の旧道らしい石畳の道を下りきってゴール。
いったん「HAKONATURE BASE」に戻って、荷物をピックアップしてシャワーを浴びることに。え? 箱根だったら日帰り温泉に直行でも良いのでは?
「今日はそうでもないですが、道がぬかるんでたりすると、ドロッドロになっちゃうこともあるんですよ。その状態でいきなり温泉に行くのはちょっと気が引けることもあるんで、こういう施設はありがたいです」と桑原さん。たしかに、ここだったらいくらドロドロだろうが、外に靴洗い場もあるし、アウトドア拠点なんだから気兼ねなくシャワーだって浴びられる。




HAKONATURE BASEでは、4月28日の開業以降、ゴールドウイン協賛によるツアー「HAKONE Adventure Class」をはじめ、さまざまなオープニングイベントを開催。このページの撮影を担当している木本日菜乃さんの写真展示とギャラリートークも実施される。

サッパリしたあとは当然! 美味いご飯と「冷えたビール!」と3人が声を揃える……と思ったら「実はぼくお酒飲めなくて(笑)」という小澤さん。
「もったいないなぁ」と笑う桑原さん。
「そのぶん、食べます!」

ということで、向かったのは箱根湯本駅近くの薪火イタリアンの店「808 Monsmare」。名物であるピザに舌鼓を打ち、イタリアンビールで喉を潤す。適度に疲れた体にビールが染みないハズがない。どうやら美味いビールが飲みたいから走る、という主従逆転型もいるくらい、ラン後のビールは美味いらしい。走るフィールドとしてだけでなく、箱根には美味いグルメも数多い。
「トレイルランニングを始めたいと言っている先輩がいるんで、今回のコースに連れて行ってあげたいですね。ビールも好きだし(笑)」と小澤さん。
「HAKONATURE BASEで着替えができるから、そのまま温泉観光していくのもラクだし、温泉、グルメ、そして桜! 女子グループも大喜びですよ」と、高谷さんがピザに乗った特製燻製チーズの美味しさに目を丸くしながら言う。
「系列店で行列のできるジェラート屋さんがあるらしいけど寄っていく?」
「行きます!」
桑原さんプレゼンツの、今回の箱根トレイルランニングツアーのおかげで、ご褒美多め、FUNが詰まったトレイルランニングの魅力に2人とも目覚めてしまったようだ。



「808 Monsmare」のマルゲリータが絶品! 薪の香りが漂う店内もアウトドア好きにはたまらない空間。



text:櫻井卓
photo:木本日菜乃

※スケジュールの所要時間はおおよその目安時間です。天候などによって足元が滑りやすい場合もありますので、お気をつけてお楽しみください。

所要時間 5時間10

09:50
箱根湯本駅
START!
徒歩で10分
10:00
HAKONATURE BASE
15分
徒歩で10分
10:25
箱根湯本バス停
0分
登山バスで約30分
10:55
蓬莱園バス停
0分
徒歩で10分
11:05
千条の滝
10分
ランで30分
11:45
小涌谷分岐
5分
ランで10分
12:00
浅間山
10分
ランで10分
12:20
大平台分岐
0分
ランで45分
13:05
湯坂城跡
0分
ランで15分 ※湯坂城跡付近からは石畳の道になり走りにくくなる。雨の日は滑るし、ここからは無理して走らずゆっくり歩いて下山しよう。
13:20
鎌倉古道登山口
0分
徒歩で10分
13:30
HAKONATURE BASE
30分
徒歩で10分
14:10
808 Monsmare
45分
徒歩で5分
14:50
箱根湯本駅
COMPLETE!
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